《総評》

今年は第1問が力学、第2問が電磁気、第3問が熱力学の分野からの出題であった。

第1問の力学はⅠⅡが比較的易しいので正解したい問題である。Ⅲの最後は境界となるのがどの状況なのか正しく見つけられたかが正解できるか分かれるポイントとなっただろう。

第2問の電磁気はやや難しい内容であった。細かい条件を考えるとたいへん時間がかかってしまうので、定性的に考えて素早く答えを出す必要がある。力学の知識も基礎として必要になる。

第3問の熱力学は比較的点数のとりやすい問題であった。Ⅳはそれぞれの領域で計算しても答えが出るが、全体の熱の出入りを考えたほうが計算をしなくてすむので、第2問に続き定性的な考え方が必要になる。

第1問や第2問は最後に難しい問題が含まれているので、例年に引き続き、各大問のはじめの方の問題をしっかりと解いていくことが重要となっただろう。初めから解いていくのではなく、第3問から解いていくと点が取りやすかったと思われる。

 

第1問
《出題分野》力学
《難易度》標準
《講評》

第1問は力学の問題であるが、Ⅰ、Ⅱは単振動の問題、Ⅲは静止摩擦力の問題というように二つの題材が独立して出題されている。単振動、特にばねの運動でない特殊な単振動についての出題は東大によくみられるものである一方、静止摩擦力についての出題は珍しいものであった。

Ⅰは単純なばねの単振動の問題であり、ミスなく素早く解きたい。ⅠはⅡの誘導という位置づけである。

Ⅱは運動方程式がⅠの運動方程式と同じ形であることに気付くことができれば、Ⅰの単振動と同様に処理して解くことができる。ただし、運動方程式を立てるときに積木1と積木2の両方について考えることを忘れないように注意したい。

Ⅲは引っ張る力が静止摩擦力に等しくなる瞬間を考えるだけであるが、系が見た目以上に複雑であり慎重に考える必要がある。特に(2)は、感覚で積木の動き方を考えず、すべての動き方について静止摩擦力を越える瞬間を式で考えて比較しなければ間違えてしまうかもしれない。

Ⅰ、Ⅱは東大を受験するレベルならば解けてほしい問題である。Ⅲは(1)は易しいが(2)については慎重な考察が必要であり入試本番の緊張感で正答するのは難しかったかもしれない。

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第2問
《出題分野》電磁気
《難易度》やや難
《講評》

第2問は、磁場中で電流の流れるブランコの導体棒に、各種電源をつないだときの運動について考える問題である。

Iは、閉回路内における磁束の変化を考えて、ファラデーの法則をもとに式を立てればよい。

IIは、つり合いの位置付近での単振動について問われている。特に(2)は、運動方程式を立てて考えても良いが、方向を鉛直方向とみなしたときに、ブランコの運動が単振り子とみなせることに気づけると手っ取り早く解ける。

IIIは、ブランコに交流電圧をつないで十分時間が経ったときのブランコの運動を考察する問題である。定常状態ではブランコの回路には、導体棒中の誘導起電力と交流電圧がつり合い、電流が流れなくなることに気づけるかどうかが鍵である。

I~IIIとも、後半部は定性的な議論を求められているが、いずれも難易度は高い。前半部の基礎的な問で確実に点数を稼いで、後半部は部分点を確保しに行く姿勢で臨んだ受験生も多かったと思われる。

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第3問
《出題分野》熱力学
《難易度》やや易
《講評》

今年の問題は熱力学の範囲からの出題であった。また、今年は例年の熱力学の内容と比べて問題設定が比較的シンプルで、本年度の大問3つ中では最も完答しやすいから、確実に点を取りたい。状態変化のイメージがつかみにくければ、グラフを描くなどして状況把握をするとよい。ただし、Ⅱに置ける状態変化は平衡状態を保ったままの変化ではなく、断熱自由膨張であり、同一のグラフ上で状態変化を曲線で結ぶことができない。また、Ⅲ、Ⅳを解くにあたっては領域A、Bそれぞれについて考える視点だけでなく、ピストン全体における熱や仕事のやり取りを考察できる視点も持っておきたい。

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