模試との向き合い方

大学受験で欠かすことのできない模試。毎回表示される志望校判定や偏差値に一喜一憂する受験生が多いのではないでしょうか。
このコラムでは、志望校合格のために様々な模試にどのように向き合えばいいのか、東大生の経験をもとにまとめました。意味のある模試の使い方をしてみましょう。

どのくらい模試を受けるべき?

各予備校・塾から様々な模試が開催されていますが、1年間にどのくらい受験するのが望ましいのでしょうか。例えば、ある大手予備校では高3生・既卒生対象の模試として記述模試が年4回、センター試験(大学入学共通テスト)向けのマーク模試が年4回、特定の大学向けの模試が最大年2回設定されています。

1つの予備校で最大年10回ほど受ける模試があるわけですから、複数の予備校の模試を受けるとなると相当な数になります。すべての予備校のすべての模試を受けることは現実的ではありません。

私は受験生のときは、基本的に1つの予備校の模試を受け続け、東大模試だけ他の1つの予備校の模試を受けるようにしていました。年12回ほど受けていたことになりますね。
高校2年生の時は、ある1つの予備校で開催されている記述系の模試を年3回、マーク系の模試を年1回受けていました。高校1年生の時は1回だけ記述系の模試を受けました。

友人には学校で指定される模試も含めて、受験生の時に月2~3回模試を受けている人もいました。しかし、私はそこまで多くの模試を受けることはありませんでした。受験生になると模試は朝から夕方まで開催されるようになり、1回受けるだけでかなりエネルギーを割きます。

また、模試は「アウトプット」作業なので、模試を受けている間に成績が上がることはありません。よって、私は何でもかんでも模試を受けるのではなく、ある1つの予備校の模試のみを受験して、その代わり1回の模試を誰よりも丁寧に「復習」することで、1回の模試で得るものを最大限にしていました。

模試を受けることは重要ですが、受けてばっかりいて放置していても意味がありません。インプットしなくてはならない高校1年生~高校2年生までは少なめに、定期的にアウトプットをして受験生の中での立ち位置の把握が必要となる高校3年生の夏以降で多めに受験することがおすすめです。

また、センター試験(大学入学共通テスト)の同日模試や東大・京大などの同日模試が、高校2年生の冬に予備校・塾で開催されることがありますが、私は敢えて受験しませんでした。貴重な1年前の過去問を、まだ学力が十分に備わっていない状態で使ってしまうことになると考えたからです。1年間でつけなくてはならない学力を把握するという意味はあるとは思いますが、学習効果を高めるということはあまりないように感じます。

記述模試 共通テスト模試 特定大学模試 合計
高校1年生 2回 0回 0回 2回
高校2年生 3回 0~1回 0回 3~4回
高校3年生 4回 4回 2回 10回

復習はどのくらいするもの?

模試の復習は重要そう…と思っていても、どのくらい復習をする方がいいのでしょうか?

私は、重要な模試(東大模試など)では受けた模試の時間と同じかそれ以上復習の時間を割きました。前にも述べたように、模試は「アウトプット」の作業であり、受けている限りでは成績は上がらないからです。

模試の復習をせず合格可能性を見て一喜一憂しているだけでは、ただ何の保証もない判定を出すために一日をつぶしていることと同じです。

周囲の東大生でも、「受験したきりで放置した」という人はあまりいませんでした。自分は復習をきちんとしたぞ!という自信を持つことにもつながります。

はじめは適切な模試の復習の仕方がわからず、かなり時間がかかってしまうかもしれませんが、早めに模試の復習に慣れておけば、大量に模試を受験することになる高校3年生になる前に効率よく模試の復習ができるようになっているはずです。

模試の復習の方法論

それでは、模試の復習は具体的にどのように進めればよいのでしょうか。私が実践していた模試の復習方法は以下の通りです。

(模試終了直後)①自己採点→②間違いの原因究明
(成績返却後)③想定と違う採点の場所の確認→④次回模試までの目標決め

①自己採点

模試受験終了直後に、配られた解答をもとにして自己採点を行います。共通テスト向けのマーク模試などは正解・不正解がはっきりとわかるので点数が明確に出るでしょう。

記述模試では具体的な点数は出ませんが、記述式問題でどこまで正解できたかをきちんと把握しておきましょう。共通テスト向けのマーク模試と特定の大学向けの模試では、目標点数とのズレも把握しておきましょう。

②間違いの原因究明

自己採点を踏まえ、間違えた問題の復習となぜ間違えたかを究明します。模試を解くうえで「正解した問題」にはほとんど価値がありません。その問題は解けるという証明にしかならず、成績は上がりません。間違えた問題をいかに整理して、自分のものにするかがカギです。私は、間違えを3種類に分類して復習を行っていました。

A、計算ミスや問題文の読み間違いがなければ正解できたケアレスミス
絶対にしてはならない失点です。私は自分への戒めのためにケアレスミスをした問題をピックアップしてノートにまとめ、これらのミスで何点失点したかをノートに書いていました。
B、解説を読むと理解できて、次回解けるべき問題
もう少し実力があれば得点できた問題です。模試の結果が志望大学の合格点に及んでいなかった場合、Bにあてはまる問題をいかに解けるようになるかが重要になるでしょう。ノートに考え方や必要な知識を十分に書き込み、次回同じ問題が出たときにきちんと正答できるように気を付けます。
C、解説を読んでもいまの実力では理解できない問題
自分の実力からあまりにもかけ離れている問題はいくら復習しても理解できません。長時間かけて理解しようとしても時間を浪費してしまうので、私はある程度解説を読んでも理解できなかったり、次回絶対に自分で解けないと思った問題に関しては細かく復習しませんでした。

③想定と違う採点の場所の確認

模試の返却後、自分の想定より点が伸びていた/伸びていなかったことがあります。
点が伸びていなかったところは、自分の書いた文章が採点者に伝わっていなかったりする場合があります。きちんと返却された答案も確認しておきましょう。

④次回模試までの目標決め

次回の模試で取りたい目標の点数や偏差値、志望校判定を設定します。次の模試で自己採点を行う際に活用しましょう。

判定は信用できるのか?

模試が返却された際に一番気になるのが志望校判定です。模試によって異なりますがA~DまたはA~Eの4~5段階で志望校合格可能性が表示されます。この判定に一喜一憂するのは受験生の常です。私もその一人でした。その判定は信用できるのでしょうか。

私が用意する答えは「信用してはならない」です。私は高校3年生の時の秋の模試で立て続けに東大A判定を取得していたのですが、1年目の受験で不合格になってしまいました。「A判定を取っていたのに…」が当時の口癖でした。

不合格になってしまった理由は、自分が苦手な数学が難化してほとんど得点できず、得意であるはずのリスニングも難化してあまり得点できなかったからでした。

本番は自分が想定していない事態が起きえます。このとき、その想定していない事態が自分にとって良くないものであるとき、判定なんか何も信用できなくなるのです。A判定でも合格率は80%です。5人に1人は不合格なのです。

判定の信頼度は模試のタイプによっても左右されるでしょう。例えば、東大受験者層がほとんど受けないような模試の東大合格可能性で高い判定を取ったとしても、信用できるとは言えません。また、共通テスト向けの試験の判定も、記述問題を多く課す大学での信頼性は高くないでしょう。

また、慶応大・早稲田大など一部難関私大では基準偏差値が非常に高く、問題が平易で高い偏差値が出にくい模試であると、A判定対象者がほとんど出ないという場合もあります。

例えば、C判定の基準が偏差値70.0であれば、A判定を取るためには偏差値75.0を取る必要があります。満点を取ったとしても偏差値が74.0の模試であれば、A判定対象者は誰一人としていないのです。模試の判定は問題の性質や受験者層によって大きく変わりうることは、知っていて損はないでしょう。

以上が「模試との向き合い方」のコラムです。志望校判定に一喜一憂することなく、受けた模試を自分なりにうまく活用することによって、着実に成績をあげていきましょう。