短時間の運動で勉強効果を高める
運動と勉強は相反するものであると考えられがちですが、運動をすることで勉強効率をアップすることができるという研究結果は、いろいろな機関から発表されています。
そんな勉強と運動の関係や、勉強に効果的な運動、手軽で短時間な運動などをご紹介しましょう。
目次
運動をすることで勉強効率は上がる
勉強と運動には密接な関係性があり、勉強の合間に適度な運動をすることは、勉強の効率をアップする効果があります。
これは精神的なリフレッシュ効果というだけではなく、科学的にも証明されています。このあたりの仕組みを簡潔に解説していきたいと思います。
運動が脳を活性化させる仕組み
ジョギングやウォーキングなどをすると、呼吸が激しくなり、心拍数が上がります。これは運動によって体中の器官が酸素を欲していることが理由となります。
酸素は血液に含まれ体中に送られます。この酸素量を増やすには、より多くの血液を体中に巡らせる必要があるわけです。
血流を増やすということは心臓をより多く、力強く動かす必要があり、このため心拍数が上がるということになります。
つまり運動をし、心拍数が上がることで、体中の血管に多くの血が流れるということになります。これは脳に関しても同様です。
脳内の血管にも多くの血が流れ込み、脳が活性化して勉強の効率を高めることにつながります。
脳への血流による刺激は、集中力や記憶力の上昇効果も期待できるため、いろいろな勉強のシーンで役立つといえます。
有酸素運動が理想
運動には有酸素運動と無酸素運動があります。分かりやすいのは短距離走と長距離走でしょう。
短距離走は一気に力を発揮するために、呼吸を止めて行います。一方長距離走は一気に力を解放する必要がありませんので、呼吸をしながら行います。
短距離走は無酸素運動、長距離走は有酸素運動ということになります。無酸素運動にはほかにも、筋力トレーニングなどがあり、運動をするとき、気合を入れて呼吸を止めて行うような運動が無酸素運動ということになります。
上で解説したような仕組みで脳を活性化させるということは、勉強効率を上げるには有酸素運動の方が有効です。
そう考えると、勉強の合間にウォーキングやジョギングを行うのがいいということがいえるでしょう。
ただし、ここで問題となるのは、運動をすることが目的ではなく、勉強の効率を上げるために運動を取り入れるということ。
運動をすることがメインではありませんので、短時間で手軽に行える有酸素運動をするのが望ましいということになります。
目的は心拍数を上げること
手軽に行える運動にはいろいろな種類がありますが、勉強効率をアップさせるためには心拍数を上げることが大きなポイントとなります。
心拍数を上げることで脳内の血流がよくなり、脳が活性化するイメージです。
目的は心拍数を上げることですが、もうひとつポイントとしたいのが手軽に行えること。
いくら運動が勉強効率を上げるといっても、その運動を行うのに手間や費用が掛かっては意味がありません。
勉強をする方といっても、受験を控えた学生だけではなく、資格取得を目指す社会人の方もいます。
こういった方でも手軽に勉強の合間にも行えるような運動がおすすめとなります。
勉強に効果的な運動の種類
いろいろな運動の中で、勉強の効率アップに有効な運動にはどのようなものがあるのかを確認していきましょう。
ここでは実践しやすいものから、実践の難しいものまでいろいろご紹介しますので、ご自身が実践可能な運動をチョイスするようにしてください。
ウォーキングやジョギング
まずはウォーキングやジョギングです。目的が走力アップやダイエットではありませんので、そこまで長時間をかけて、負荷をかける必要はありません。
大きな目的は心拍数を上げることですので、20~30分程度の早歩きでも十分な効果が望めます。
ウォーキングやジョギングを行うのであれば、勉強の前に行うのがおすすめ。
ベストは普段より30分ほど早起きして朝のうちに行うことですが、これはそれぞれの方の生活サイクルもありますので、参考にする程度でいいでしょう。
ウォーキングやジョギングは、毎日行わなくても1日おきでも効果は見込めます。
資格取得を目指す社会人の方で、仕事の後自宅で勉強をするという方は、自宅の最寄り駅のひとつ前の駅で降りて、歩いて帰るだけでも十分効果が見込めます。
誰でも行いやすい運動ではありますが、悪天候や猛暑、極寒の場合は実践しにくい方法でもあります。
サイクリング
ウォーキングやジョギングと同様に、比較的行いやすい有酸素運動がサイクリングです。特にスポーツ用の自転車でなくても、有酸素運動は十分に可能です。
サイクリングで効率的に有酸素運動をするのであれば、ギアを軽くするのがポイント。軽いギアにすることでペダルを回す回数が多くなり、継続した運動が可能になります。
サイクリングを行う場合は30分程度が目安ですが、都心部の一般道などの場合、スピードも出しにくく信号も多いことから、1時間程度を目安に行うといいでしょう。
サイクリングもジョギングやウォーキングと同様に、悪天候だと運動できないというリスクがあります。
近所にサイクリングロードがある、適度な坂道があるなど、条件がそろっており、手軽にサイクリングができるという方は、2日に1度程度のペースで行うといいでしょう。
水泳
有酸素運動としては非常に優秀なのが水泳です。体全体を使う水泳は、短時間でも十分な効果が見込める運動です。
また、水泳は空間認知能を鍛えることもできると言われているため、数学や物理など理系の勉強を行う方にはおすすめの運動になります。
ただし、水泳を行うには、多くの手間や時間が必要です。自宅からプールに行き、着替え、泳いでから再び着替え、自宅に帰るという行程が必要です。少なくとも1時間は必要であり、手軽に行える運動とは言えません。
水泳が趣味という方は週に2~3度通うことで効果を期待できます。
エアロバイク
ここまではウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳と、自宅ではできない運動を紹介してきましたが、ここからは自宅でも可能な運動をご紹介しましょう。
自宅にエアロバイクがあれば、手軽にサイクリングと同じような効果を得ることができます。
エアロバイクもあまりギアを上げずに、比較的軽めのギアで、できるだけペダルを多く回すことを意識しましょう。
エアロバイクを用意し、かつ置く場所が必要となりますが、その代わり悪天候の日でも手軽に運動でき、しかも外に出る必要がないのでおすすめの運動と言えます。
高強度インターバルトレーニング
自宅で、しかも道具もなしで行える運動もあります。高強度インターバルトレーニングとは、多くのスポーツ選手も採り入れている、いわゆるサーキットトレーニングです。
腕立て伏せや腹筋、スクワットといった高強度の運動を、極めて短時間で行います。そこから一定のインターバルを置き、次の運動を行うというもの。参考までに一例を紹介しましょう。
- 腕立て伏せ(20秒間)
- インターバル(10秒間)
- スクワット(20秒間)
- インターバル(10秒間)
- 腹筋(20秒間)
- インターバル(10秒間)
- もも上げ(20秒間)
これらを1セットにし、2セットほど行うと短時間で一気に心拍数を上げることができます。ここで紹介したのは一例ですので、運動の内容は変更しても問題ありません。
トレーニングやダイエットが目的であれば、その目的に合った運動をすべきですが、勉強の合間に勉強効率を上げるためのトレーニングですから、心拍数が上がる運動であればその種類は問いません。
自宅で道具もなくすぐにできる運動方法ですが、もも上げトレーニングなどは階下に音が響きますので、マンションやアパートで暮らしている方はご注意ください。
アイソメトリック
アイソメトリックトレーニングとは「静的動作トレーニング」とも呼ばれる運動方法です。
正式なポーズは専門のサイトなどで確認する必要がありますが、分かりやすく言えば腕立て伏せや腹筋運動の途中の状態をキープし続ける運動です。
腕立て伏せで腕を曲げた状態を、一定の時間動かないようにキープします。この時、呼吸は3秒で吸って3秒で吐くというリズムをキープします。
通常の筋力トレーニングは無酸素運動が多いものの、アイソメトリックは運動の間、呼吸を行うことで、短時間でも一気に心拍数を上げることが可能です。
動きも少なく、マンションやアパートでも周辺住民に迷惑をかけずにできますので、非常におすすめの運動方法と言えるでしょう。
ドローイン
ドローインとは体幹トレーニングの一種であり、誰でも簡単にできる呼吸を使った運動方法です。
簡単にやり方を説明すると、まずは腹式呼吸を行い、呼吸に合わせて腹部が動くことを確認。
おなかをへこませながら息を吐き、おなかがこれ以上へこまないところまでいき、息を吐ききったら、おなかはその状態をキープしながら細かく呼吸をします。
これを10~30秒ほど続けるのが1セットです。1セットでも心拍数が上がるようであれば1セットでも十分です。心拍数が上がっていることが実感できるまで続けましょう。
こちらも道具いらず、 場所いらずですぐに行える運動なので、勉強の合間でも非常に行いやすい運動となります。
運動をすることで得られる効果
運動をすることにより心拍数を上げ、血流を増やすことで脳を活性化させることは説明した通り。
しかし適度な運動はこういった科学的な根拠以外にも勉強の効率を上げる効果が期待できます。
そんな効果についてもまとめておきましょう。
気分転換
長時間机に向かって勉強をしていると、どうしても気分が落ち込んだり、イライラしたり、眠気に襲われたりします。こういう時にこそ運動が効果的です。
ずっと同じ姿勢で頭だけを使っている状態から、少しでも体を動かすことで気分転換を図れる効果があります。
眠気に襲われた場合は、心拍数を上げるところまで運動をしなくても、ストレッチをすることで眠気を抑えることもできるでしょう。
気分が落ち込む、イライラするなどの場合は、可能であれば家を出て外の空気を吸うのがおすすめ。少しでも環境を変え、体を動かすことで気持ちも切り替えることができるでしょう。
体のコリをほぐす
同じ姿勢をとり続けることで、肩や腰にコリや痛みを感じるケースも少なくないかと思います。こんな時にも運動は大きなプラスの効果をもたらしてくれます。
体が凝っていると感じたら、まずは大きくストレッチをしてみましょう。それだけでは効果が実感できないようであれば、上で紹介したアイソメトリックやドローインなども試してみてください。
一見、運動効果は低いように見えるドローインですが、体幹トレーニングには姿勢を正す効果もあるため、ドローインを行うだけでも、コリや痛みの改善が期待できます。
よほど腰が痛いときなどは外で軽く散歩をするのがおすすめ。その時背筋を伸ばすように意識すると、より痛みを和らげてくれます。
まとめ
勉強の前や合間にちょっと体を動かすのは、勉強効率を上げる効果が期待できる非常に有効な方法です。
頭の働きをよくするために、毎朝30分でもいいのでウォーキングなど運動をする習慣をつけることで、大きな効果を期待できます。
勉強効率を考えると、運動は有酸素運動がおすすめ。ある程度心拍数が上がるような運動が望ましいです。
また、それだけではなく勉強の合間にも、適度な運動がおすすめです。勉強効率を上げるだけではなく、体のコリや痛みを取り、気分転換も期待できます。
注意点は運動がメインとならないようにすること。ここで紹介している運動は、勉強効率を上げるための運動です。あくまでも主目的は勉強であり、運動をすることではありません。
運動の時間が激しすぎて、眠気や疲れを感じてしまい、勉強時間が減るようなことがないように気をつけましょう。