《総評》

第1問では遺伝子、第2問では植物の光合成と環境応答、第3問では個体群がテーマとして扱われた。これは例年の東大の傾向通りであり、長い問題文から考察を求める点からも、東大らしい問題であるといえる。難易度としては、第1問、第3問は例年のレベルと同じ程度、あるいはやや簡単であったのに対し、第2問はやや難しくなっている。全体として記述が14行程度しか求められておらず、例年より少なくなっている。そのため、考察問題にしっかりと時間をかけることができたのではないだろうか。そのため、全体のレベルは例年並みからやや易しめ程度である。

第1問
《出題分野》遺伝子、免疫、循環系
《難易度》標準
《講評》

遺伝子分野からの出題であるが、この分野は毎年出題されるといっても過言ではないテーマである。問題文の分量がやや多く受験生には目新しい内容である点から、東大らしい問題であるといえる。しかし、記述は一題のみである上に、この問題は基礎的なものである。それに対し、他の問題では実験の考察が多く求められており、全体的なレベル自体は平年並みとなっているといえる。教科書レベルの知識をマスターしていれば、あまり時間をかけずに解ききることができただろう。

I

A mRNAが細胞質基質に存在するリボソームに結合すると、mRNAコドンに対応するアンチコドンを持ったtRNAmRNAに次々に結合していく。このtRNAが運搬してきたアミノ酸リボソームによってペプチド結合していくことによってタンパク質が合成される。

B (a)お、く、け (b)え、お、く、け

C (3)

D 1―2 2―14 3―10 4―12 5―1 6―14 7―5

 

II

A 1/16

B 8―獲得 9―HIV 10―自然 11―マクロファージ(好中球、樹状細胞も可) 12―毛細血管 13―閉鎖 14―組織液 15―開放

C (1)(5)

D (4)

 

第2問
《出題分野》光合成、植物の環境応答
《難易度》やや難
《講評》

第2問は他の大問に比べて難しい問題が多かった。知識問題はII-A、Cだけであり、それ以外の問題は考えなければならない問題である。II-D、Gは比較的解きやすかったので正答したい。差が付きやすかったのはI-A、B、II-B、Eだったのではないか。問題を丁寧に読み、頭をひねらなければ正答を導けない。試験場で焦った状態では落ち着いて読み解くのは難しいだろう。II-Fは問題文をちゃんと読み、かつ傾性の定義をきちんと知っていなければいけなかったので、正しく正答できた人は少ないだろう。例年通り、植物に関連して広い分野で思考力を試される問題が出された。

I

A (6)

B (6)

 

II

A 光受容体:クリプトクロム 植物ホルモン:オーキシン、ジベレリン

B (1)

C 巻きひげ―ブドウ(キュウリ、エンドウなど) 茎全体―アサガオ(フジなど)

D 側芽は茎から左右交互に出るが、この巻きひげは左右対称に出ている。また、断面の維管束が、茎のように木部が内側、師部が外側の円形ではなく、葉のように木部が上側、師部が下側にある。よってこの巻きひげは葉が特殊化したものである。

E (5)

F 茎が旋回運動をしているときに支柱と接触する刺激を感知すると、旋回運動をしていた方向へ屈曲することで支柱に巻き付く。

G fとhとkでつる性の獲得が起きた。

fとgでつる性の獲得が起き、jでつる性の喪失が起きた。

 

第3問
《出題分野》個体群、遺伝
《難易度》標準
《講評》

第3問は、異種個体群間の関係からの出題であった。複雑な実験もなく、比較的解きやすい大問だっただろう。Iは基本的な用語の選択であり、素早く解きたい。記述問題のII-Aはグラフの読み取りであり、書きやすかった。II-Cは基本的な遺伝の問題であるが、リード文には個体の割合が50%などとハーディワインベルグ平衡を彷彿とさせる記述もある。焦らず設問を正しく読むことが重要であった。

I

A 1―11 2―10 3―5 4―7

B (1)―3 (2)―2 (3)―4 (4)―5 (5)―1 (6)―2

 

II

A 同種の魚が周辺にいる場合の採餌成功率は変わらないが、別種の魚が周辺にいる場合は採餌成功率が上昇する。

B 種Cは周辺にA種とB種がどちらも存在する状況では、遠くの底沿いに襲撃してくるA種と近くから襲い掛かるB種の両方を同時に警戒しないといけなくなるため。

C (1)、(5)

D (2)、(6)

E 口が左に曲がった個体を配偶相手に選んだ方が、子の口の向きが左向きの少数派となり採餌成功率が高くなるため、生存に有利になる。

F (4)