第1問 細胞/細胞小器官/タンパク質
2017年の生物基礎の第1問でも例年通り、細胞やタンパク質に関する問題が出題された。6問中5問が知識問題であり、難易度は例年よりやや易~例年並みである。残りの1問は計算問題であるが、典型的なものであり、同じような問題を1度は解いたことがあるだろう。計算問題で少し差がつくと思われるが、差が開くような深い知識を要求する問題は少なく、ほかの受験者に後れを取らないようにするためにも手堅く高得点を得たい問題構成であった。

第2問 体内環境/ホルモン/免疫
Aは体内環境やホルモン、Bは免疫の分野からの出題であり、例年通りの分野からの出題であった。難易度は易しめであり、去年からはやや易化していると言える。
問1問2は正しい文を選ぶ知識問題であるが、基本的な知識があれば容易であろう。問3は内分泌腺とホルモンの組み合わせを選ぶ問題であるが、問題文をしっかりと読まなければ③を排除することができず、注意力が必要である。問4は単語の組み合わせを選ぶ知識問題であり、基本的な体液性免疫に関する知識が問われている。問5は正しいグラフを選ぶ問題であり、知識を応用する必要があると言える。

第3問 バイオーム/生態系
マーク数は昨年度より一つ減った4問。Aは教科書にも載っているバイオームと気候の関係図に有機物生産量のグラフが組み合わさった図を読み取る問題。図のどこにどのバイオームが対応しているか覚えていればわかる問題であった。問2はX(落葉樹林)の特徴と日本の気候をあわせて考えればよい。Bは生産者と消費者のはたらきについて問う問題。問4は選択式の
穴埋め問題であるが、専門的な用語を選ぶものではないため、解きやすかっただろう。

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○a アデノシン三リン酸(ATP)のリン酸同士の結合は高エネルギーリン酸結合と言われ、リン酸が離れたり結合したりする際に多量のエネルギーを貯蔵したり放出したりする。これによりアデノシン三リン酸は生体内のエネルギーのやり取りの仲介をしており、「生体のエネルギー通貨」と呼ばれ、全ての生体の細胞に分布している。 ○b クロロフィルは光合成にかかわる色素であり、光合成を行う生物の細胞にのみ存在する。 ○c セルロースは植物の細胞壁や植物繊維に含まれる炭水化物で、植物体の支持に関わる。 ○d ヘモグロビンは脊椎動物を中心とする動物の赤血球に含まれるタンパク質で、酸素の運搬に関わる。 ○e 水は生体における化学反応の場となる物質で、全ての生体の細胞に含まれる。 以上より、解答は○aと○eを選んでいる③である。  問2  2  正解は④ 解説 原核生物に含まれるのは細菌類の生物であり、選択肢の中では大腸菌、乳酸菌、光合成を行う細菌であるシアノバクテリアのネンジュモだけである。オオカナダモ、ミドリムシ、ゾウリムシはいずれも真核生物である。したがって、解答は④である。

細胞内共生によって生じた細胞小器官はミトコンドリアと葉緑体であり、酸素を使った有機物の分解を行う原核生物が細胞に取り込まれたのはミトコンドリアであり、光合成を行う原核生物が細胞に取り込まれたのは葉緑体である。したがって、解答は④である。  B 問4  4  正解は② 解説 細胞周期は間期と分裂期(M期)に分けられる。間期はさらに、DNA合成準備期(G1期)、DNA合成期(S期)、分裂準備期(G2期)に分けられる。したがって、解答は②である。  問5  5  正解は② 解説 それぞれの細胞が細胞周期のどの段階にあるかがランダムであるとすると、ある時間における細胞周期の各段階の細胞の数の比と各段階の長さの比が等しくなると考えられる。よって、分裂期の長さをx時間とすると以下の式のようになる。 168個:42個=20時間:x時間 42・20=168・x x=5 よって分裂期の長さは5時間。間期の長さが20時間であるから、細胞周期全体の長さは5時間+20時間=25時間である。したがって、解答は②である。  問6  6  正解は③   7  正解は⑦ 解説 遺伝子の持つ情報からタンパク質が合成されることを遺伝子の発現と呼ぶ。また、ヒトのだ腺で合成され、澱粉を分解するタンパク質はアミラーゼと呼ばれる。インスリンは血糖値を下げる働きのあるホルモン、ヘモグロビンは赤血球に含まれ酸素の運搬に関わるタンパク質、フィブリンは血液凝固に関わるタンパク質である。 したがって、カには③、キには⑦が入る。 

① 誤り。酸素は大部分が赤血球のヘモグロビンに結合して運搬される。血しょうに溶解するのはごくわずかである。 ② 誤り。血しょうにはグルコースや無機塩類だけでなく、タンパク質も含まれる。 ③ 誤り。血液中で水に溶けにくい繊維状のフィブリンがつくられ、フィブリンが血球と絡まりあうことで血ぺいができる。 ④ 誤り。血小板は血液凝固反応に関わる血球であり、血液凝固因子を放出する。 ⑤ 誤り。ヘモグロビンを多量に含むのは赤血球である。 ⑥ 正しい。ヘモグロビンは酸素濃度が高いときは酸素と結合しやすいが、酸素濃度が低いときは酸素と結合しにくい。この性質により、ヘモグロビンは酸素濃度が高い肺で酸素と結合し、酸素濃度の低い組織で酸素を放出する。 したがって、解答は⑥である。  問2   9  正解は④ 解説 ① 誤り。運動をすると筋肉でエネルギー生産のために呼吸が多く行われるため、呼吸に必要な酸素を運ぶ血液の流入量は増加する。 ② 誤り。交感神経が興奮すると心拍数は増加する。心拍数を減少させるのは副交感神経である。 ③ 誤り。肺動脈には静脈血という酸素の少ない血液が流れており、肺静脈には動脈血という酸素の多い血液が流れている。これは全身から戻ってきた静脈血が肺動脈を通って肺に送られ、肺で酸素を取り込み、肺

静脈を通って全身へと送られるためである。 ④ 正しい。毛細血管からは血液の血しょう成分が染み出し組織液となり、組織液を通して細胞に酸素や栄養分が渡される。 ⑤ 誤り。肝門脈は小腸などの消化管や膵臓や脾臓から肝臓に血液を送る血管である。 ⑥ 誤り。リンパ管には組織液が流入する。リンパ管内のリンパ液は鎖骨下静脈から静脈へと流入する。 したがって、解答は④である。  問3   10  正解は② 解説 バソプレシンは脳下垂体後葉から分泌されるホルモンで、腎臓における水の再吸収を促進する。チロキシンは甲状腺から分泌されるホルモンで、代謝を高める働きを持つ。鉱質コルチコイドは副腎皮質から分泌されるホルモンで、細尿管におけるナトリウムイオンの再吸収とカリウムイオンの分泌を促進する。 内分泌腺とホルモンの組み合わせとしては②と③が正しいが、問題文にあるように体液の水分量の調節に関わるのはバソプレシンの方であるから、解答は②である。  B 問4   11  正解は② 解説 好中球、マクロファージ、樹状細胞などが食作用を持つ。また、樹状細胞やマクロファージが細胞性免疫や体液性免疫の起点となる抗原提示を行うので、アには樹状細胞、イには抗原が入る。抗原の情報を受け取ったヘルパーT細胞と同じ抗原を認識して活性化、増殖し抗体産生を行うのはB細胞である。したがって、ウにはB細胞が入る。 以上より、解答は②である。  問5   12  正解は③ 解説 一度感染した病原体の情報を記憶する仕組みにより、2回目の感染では抗体産生が多量かつ迅速に行われる(二次応答)。そのため、一次応答における感染から抗体産生の期間よりも二次応答におけるその期間の方が短く、一次応答における抗体産生量よりも二次応答における抗体産生量の方が多くなる。 したがって、解答は③である。

問題文の図1を見てわかる通り、異なるバイオーム間で年平均気温が同じ場合、年降水量が少ないほど有機物生産量は小さくなる。よって①、③は誤りで②が正しい。 また、問題文の図1と下の図Aを照らし合わせて見ると、雨緑樹林の有機物生産量は硬葉樹林のものより大きいことがわかるので、⑦が正しい。残りの④、⑤、⑥は誤りである。

Xで示されたバイオームは夏緑樹林である。夏緑樹林はブナやミズナラなど、冬に落葉することによって寒さに耐える樹木によって構成されるバイオームで、おおむね年平均気温が10℃以下で年降水量1000㎜以上の環境に分布する。東北地方から北海道では低地で見られるが、それ以南の地域では山地において分布が確認されている。亜熱帯気候で年中暖かい沖縄では見られない。 以上より、正解は⑥。  B 問3  16  正解は③ 解説 ①	正しい。生産者は硝酸イオンやアンモニウムイオンなどの無機物を取り込んでアミノ酸を合成する。 ②	正しい。生産者は光合成によって無機物から有機物を合成する。 ③	誤り。生産者である植物は呼吸も光合成も行う。 ④	正しい。消費者は、呼吸によって有機物を分解し、エネルギーを得る。 ⑤	正しい。消費者は、低次の消費者や生産者を摂食することで生産者の合成した有機物を取り込む。 以上より、正解は誤りを含む③。  問4   17  正解は① 解説 アには「落葉・落枝」、イには「速い」が入る。分解者は落葉や落枝、生物の死骸などの有機物を分解してエネルギーを得ている。本文中にある通り、熱帯多雨林では樹木の生長が速いため針葉樹林より落葉・落枝の供給量は多いが、気温が高いため分解者の活動が活発になり有機物分解速度は速くなるので、単位面積あたりの土壌に含まれる有機物量は少ない。 以上より、正解は①。