医学部の学費

医学部を受験するときに気になるのが学費です。医学部の学費は高いと言われます。よく、「サラリーマン家庭の子どもは医学部に通えない」と言われます。実際のところはどうなのでしょうか?

このページでは、医学部に通うときに実際にかかる費用についてランキング形式でまとめています。また、高額な学費を払うのが難しい方のために、奨学金や地方自治体の修学資金貸与、学費免除など、負担を軽くできる制度なども紹介しています。

医学部の学費はどれくらい?

医学部の学費は、ほかの学部と比べると格段に高くなります。日本は世界の中でも教育費が高い国として知られていますが、その中でも医学部の学費は群を抜いています。

国公立は標準額が定められているので、ほかの学部とそれほど違いはありません。問題は私立で、各校でかなりの開きがあります。

分かりやすい指標として、初年度納入金で私立大学の学費を学部ごとに比較してみましょう。ここでいう初年度納入金とは、入学金、授業料に加え、施設費、実習費、諸会費など、1年次で支払う学費合計のことです。1年間の学費にはさまざまな経費が含まれています。入学金と授業料だけで見ていると、思わぬ出費がかさんで高額になってしまうこともあるので、全体を考えて計算するようにしましょう。

学部ごとの初年度納入金(私立)

文学部 1,299,956円
法学部 1,234,607円
経済・経営・商学部 1,264,226円
理学部 1,567,757円
工学部 1,609,120円
医学部 7,284,392円

29年度 学費平均額、旺文社教育情報センター

文学部や法学部、工学部などほかの学部に比べ、600万円ほど高くなっていることがわかります。医学部は6年制ですから、卒業までにかかる費用は、入学金を除いた額の6倍です。掛け算してみると、おそろしい金額になることがわかります。

国公立の学費

国立大学は、入学金と授業料に関しては文部科学省の定める標準額の20%増を限度として、各大学が定められることになっています。

施設費、諸会費などが加わりますので、実際に請求される額はこれよりも多くなります。

文部科学省の定める2019年度の標準額(昼間部)

入学金 282,000円
授業料 535,800円
入学金と授業料の合計 817,800円

国公立大学は私立大学に比べると学費が少なくてすむため、人気が高いです。しかし国公立大学はセンター試験と二次試験の両方で高い得点を取らないといけないため、私立大学よりも入学のハードルが高いです。国公立大学医学部試験の難易度は非常に高いです。費用面で考えると国公立大学のほうがいいけれど、入りやすさで考えると国公立大学は難しいというジレンマがあります。

私立の学費

サラリーマン家庭が医学部受験を考える際、国公立にしようか、私立にしようかというのはとても悩むところです。

国公立大学なら、学費は払えそうだけれど受験の難易度を考えると自分には難しそう。かといって私立大学は学費が高すぎてとても払えない。では、どうすればいいのか? というところですが、朗報があります。私立大学医学部の学費は近年、減少傾向にあるのです。中には6年間の総費用が2,000万円を切る大学も出てきています。

私立大学ランキング

私立大学の学費をランキング形式でまとめると、以下のようになります。

私立大学医学部学費ランキング

順位 大学名 6年間総費用 初年度学費
1 国際医療福祉大学 19,100,000 4,500,000
2 順天堂大学 20,800,000 2,900,000
3 慶応義塾大学 22,059,600 3,840,000
4 日本医科大学 22,297,800 4,500,000
5 自治医科大学 22,600,000 4,600,000
6 東京慈恵会医科大学 22,810,000 3,500,000
7 昭和大学 23,072,000 4,500,000
8 東邦大学 26,297,800 4,800,000
9 関西医科大学 28,140,000 5,700,000
10 東京医科大学 29,833,700 7,400,000

一番学費が安いのが国際医療福祉大学の19,100,000円です。ベスト10までは2000万台となっています。一方で相変わらず学費の高い私立大学も存在しており、川崎医科大学は6年間総費用が47,265,000円と、5,000万円近くかかってしまいます。私立大学の中でも、費用はさまざまですので、よく調べて比較検討しましょう。

ちなみに、国際医療福祉大学は、上記費用のほかに、教科書代、臨床実習のための交通費、宿泊費、予防接種代、国家試験対策費用、同窓会費なども徴収されます。順天堂大学は、上記費用のほかに寮費と諸会費を納入します。学費を比較する際は、これらも合わせて計算するようにしましょう。

医学部の学費が払えない場合

2,000万円とか4,000万円とか、庶民には手の届かない夢の中のような話が続いています。普通の家庭がそんな大金を、受験時に用意しておくことは難しいでしょう。しかし、あきらめるのはまだ早い。未来ある学生のために、この日本にはさまざまな支援サービスが存在します。これらを上手く使えば、手持ちの費用が少なくても医学部の学費をまかなうことが可能となります。

すぐに思いつくのは日本学生支援機構の奨学金ですが、そのほかにも方法はいくつかあります。貸与型の日本学生支援機構の奨学金は借金なのでいずれ返さなければいけませんが、条件を満たせば借りたお金の返済が免除される制度もあります。

日本学生支援機構奨学金

日本学生支援機構の貸与型の奨学金は、第1種と第2種があります。第1種、第2種ともに、奨学金を受けるには、学校の成績が高校1年生から5段階評価で平均3.5以上でなければいけません。

第1種
無利子の奨学金です。経済的に困難な状況にあるなど、経済環境を厳しくチェックされます。

第2種
卒業後の返済期間は年3%を上限として利子が付く奨学金です。在学中は無利子です。第1種よりは審査が通りやすいです。

第1種と第2種以外の奨学金

このほか、第1種または第2種の対象者で国民生活金融公庫「国の教育ローン」に貸与を申し込んだけれど借りられなかった人のために、「入学時特別増額貸与」という制度もあります。入学時の学費に充てることができます。

返済不要の給付型の奨学金もありますが、審査が厳しく、枠も少ないのが難点です。

日本学生支援機構の奨学金の額

日本学生支援機構の奨学金は、それぞれで貸与・給付される額が異なります。

種類 金額(月額)
第1種 最大64,000円
第2種 最大120,000円(160,000円)
給付型 最大40,000円

給付型は返済が必要ないところが魅力ですが、3つのうち最も給付額が少ないです。第2種は最大120,000円ですが、私立大学の医・歯学課程なら、これに40,000円を増額して最大160,000円受けられます。さらに、1種と2種は併用もできます。

注意しなければいけないのは、たとえ第1種と第2種の奨学金を併用したとしても、医学部の学費すべてをまかなうことはできないということです。64,000円と160,000円で最大限借りると月224,000円受けられますが、これを6年間受け続けると16,128,000円です。ランキングで最も安かった国際医療福祉大学でも総費用は19,100,000円ですから、足りない300万円は自分で貯めておくか、教育ローンを利用しなければいけません。

学費免除の大学を選ぶ

なんのかのと言っても、日本学生支援機構の奨学金は借金です。いずれ返さなければいけません。6年間も受けると貸与額もそうとうな額になりますので、卒業後の返済を考えると二の足を踏んでしまう方もいるでしょう。日本学生支援機構の奨学金の返済の催促は年々厳しくなっており、社会問題化しているだけに心配です。

そんなときは、学費が全額免除になる大学を検討してみてはいかがでしょうか。学費免除になる大学は、防衛医科大学校、自治医科大学、産業医科大学の3つです。ただし、ただではタダにしてくれません。条件があります。

学費免除になる条件とは

防衛医科大学校 軍医の養成学校であるため、大学卒業後9年間を自衛隊で勤務することが条件です。学費は無料で全寮制の大学となります。学生でありながら月10万円程度の給与が支給されるという、うれしい特典もあります。
自治医科大学 大学卒業後に、大学の指定機関で9年間勤務すると、入学金や学生納付金などが返還免除になります。学生の出身都道府県にある公立病院などが指定されます。
産業医科大学 大学卒業後に貸与を受けた期間の1.5倍の期間、産業医などとして働けば、学生納付金の一部に適用される貸与金が全額返還免除となります。

大学卒業後、定められた場所で勤務することが、返還免除の条件となります。

地方自治体の修学資金貸与

地地方自治体と連携した大学が実施している制度です。「地域枠」とも言います。地域医療を担う将来の医師に対して、修学資金を貸与するというものです。一定の条件を満たせば免除されます。貸与額や条件はそれぞれで異なります。各大学や自治体のホームページで詳細を確認できます。

たとえば、順天堂大学で行う地域枠には、東京都、新潟県、千葉県、埼玉県、静岡県の5つがあります。募集人員は2名、月額30万円を6年間(計2,160万円)が貸与されます。新潟県枠の返済免除の条件は以下の通り。

  • 大学を卒業後2年以内に医師免許を取得
  • 新潟県指定の医師不足医療機関等に9年間勤務
  • 夏季休暇等を利用して地域医療に関する実習に参加

出身地は問いません。地域医療に貢献したいと考えている受験生なら誰もが申し込むことができます。

成績優秀な学生になる

成績優秀者のための奨学金制度、特待制度を利用するという方法もあります。各大学が、成績優秀者に対して学費を免除する制度を用意しています。ただし全額が免除になるわけではありません。以下にいくつか例を挙げます。


慶応義塾大学(医学部人材育成特別事業奨学金)
一般入試成績上位者10名は計800万円(4年間、年間200万円)を給付

東京慈恵会医科大学(特待生)
入学試験の成績上位5名は初年度の授業料を全額免除

東京医科大学(特待生)
一般入試の成績上位者35名、センター利用入試の成績上位者15名は、計500万円(初年度授業料250万と教育充実費250万円)を免除


教育ローン

医学部の学費を費用捻出する方法をいろいろ見てきましたが、一番簡単に費用を得られるのは、教育ローンです。銀行などで実施しています。医学部限定の高額貸与コースなども用意されているので、高額な学費でもカバーしやすいです。

日本政策金融公庫「国の教育ローン」は、ほかの機関の教育ローンよりも低金利です。返済期間は15年で、ほかの教育ローンよりも比較的長いです。民間のローンよりは審査が厳しいですが、返済のしやすさを考えると、魅力的ではあります。

返済について

貸与型奨学金や教育ローンはいずれも借金ですから、卒業後の返済のことも考えて利用しなくてはいけません。

医師の平均年収は勤務医なら1,000万円程度とされます。開業医なら2,000万~3,000万円です。医学部の学費は高いので、6年間の総計になるとかなりの額になりますが、医師は会社員に比べるとかなりの高給が得られますから、普通に考えると10年間もあれば返済は可能です。

しかし、収入が多ければお金がたくさん残るかというと、必ずしもそうではありません。入ってくるものが多ければ出ていくものも多くなるものです。医師という華やかな世界にいると、ついつい背伸びしてお金を使いすぎてしまいがちですが、学費を払い終わるまでは地道な生活をして、コツコツと返してきましょう。

まとめ

私立大学の医学部の学費は大変高額なため、割安な学費ですむ国公立大学が激しい競争倍率となるのは頷けます。

私立大学への受験を考えるのなら、なるべく学費の安い大学を選ぶか、授業料減免もしくは返済不要になる制度の利用を検討することで、費用をかなり抑えられます。返済不要とするには一定の条件をクリアしなければいけませんから、それができるのかどうかも、申請をする前によく考える必要があります。

いずれにせよ、現代ではさまざまな支援制度が整っていますから、金持ちの子どもしか医学部に行けない、などというのは過去の話です。いろいろな選択肢をうまく活用しながら、学生時代を乗り切ってくださいね!