医者になるには

医者になるためには、いくつかのステップを踏んで進んでいく必要があります。医者になりたい! と思ったらすぐなれるものではないのです。また、それぞれのステップはかなりの困難を伴います。時間もかかります。医者を志す方は、そこのところをぜひとも肝に銘じて挑んでいただきたいです。

このページでは、医学部を受験するところから始まって、医学生になり、最終学年になるまで勉強を続けてから医師国家試験を受け、さらに臨床研修医で経験を積んで、晴れて一人前の医師となるところまでのステップを、順を追って説明しています。

医学部受験~医師になるまで

医者になるまでの道のりは遠く険しいです。最初のステップである、医学部に合格するのが難しい。そして医学部に入ってからの学業の負担は重く、体力的にも精神的にもかなりのガッツが必要となります。普通の大学生なら4年間ですが、医学部の場合は6年間と2年間も長く学ばなければいけません。

医学部の課程をすべて修了したあとは、医師国家試験という難関試験が待っています。そこをパスしたら、臨床研修医という次なる試験が待っています。医学部合格のための受験勉強を入れれば、医者になるためだけにそれだけの期間を費やさなければいけません。

しかし、千里の道も一歩からです。着実に進めていけば、最終到達点である「医師になる」という夢も、気づけばすぐそこに迫っているはず。まずは目の前のことだけを見て、ポジティブに行動していきましょう!

ステップ1 医学生になる

最初のステップは「医学生になる」というところから。医学部に合格して、医学生になれなければ、医者になるという目標は絵に描いた餅に終わります。医者になるには医師国家試験をパスしなければいけませんが、この試験は医学部に通わずして受かることは不可能です。

医師国家試験は、医学部の過程を修了することが受験資格の1つであるためです。また、2年間の臨床研修医生活を送るための研修先探しは、自分で見つける必要があります。

医者になりたいのなら、まずは医学生になることを目指してがんばりましょう。

医学部を受験する

医者になるという夢を実現するための最初の壁となるのが医学部受験です。医学部はどの大学もレベルが高いです。大東亜帝国レベルの医学部であっても簡単には入れませんし、旧帝大レベルとなると超難関も超難関、庶民にとっては、雲の上の人たちが通う場所に見えるでしょう。その頂点となるのは、言わずと知れた東大理Ⅲです。

医学部を持つ大学には国公立も私立もありますが、どちらを受けるかはよく考える必要があります。まず授業料の点で、国公立と私立は大きな差がありますし、私立の中でも大学によって授業料はかなり違います。また、授業の内容も、国公立と私立とでは差がありますので、事前によく調べて、自分に合った大学を選ぶことが大切です。

大学の医学部に通う

難関試験の医学部の試験をパスして、よし! あとはハッピーエンド……とはなりません。そのあとも試練は続きます。むしろ、受験期間は1年間だけですので、受験勉強をしていたころのほうがまだ楽かもしれません。

なぜなら、医学部は6年間も大学に通わなければいけないからです。それも、非常に難解な医学に関して、あらゆる方面をみっちり勉強しなければいけません。医学部で学ぶのは基礎医学と臨床医学に大別され、いわゆる本を読んだり講義を聞いて覚えたりする学問もあれば、実習もあります。ほかにも倫理に関することなど、医師となるために知っておかなければいけないことは山ほどあります。

ステップ2 医師国家試験を受ける

長かった医学生のあいだの勉強をやり遂げたら、次はいよいよ医師国家試験です。医師として働くには、医師国家試験の合格は必須となります。

医師国家試験の合格率は92.1%(第114回医師国家試験)と高いですが、油断はできません。難関試験であるのは言うまでもありませんし、毎年、一定数不合格の学生はいます。逆に、あれだけきつい学生生活を送ってなお、落ちてしまう学生がいるということが、そもそも驚きと言えるでしょう。

6年間、きちんと真面目に勉強してきた優秀な学生が、万全な対策をして、はじめて受かる試験なのです。

国家試験ってどんな試験?

医師国家試験の試験内容については、厚生労働省の発表によると、臨床上必要な医学・公衆衛生について、医師が持つべき知識と技能となっています。

非常に大雑把なというか、これだけ読んでも何が試験範囲なのかまったくわかりませんが、的を射た表現とも言えます。つまり、医師が、臨床上必要な知識であれば、どのようなことでも問われうるということです。

科目も問いません。あらゆる臨床医が持つべき知識が対象です。試験問題は、すべての科目を含んだ総合問題形式がとられています。

問題数は計400問で、臨床・一般・必修の3形式。A-Fブロックに分けられ、2日間に分けて実施されます。想像しただけで頭が痛くなりそうですが、選択肢問題であるところが救いと言えます。

医師国家試験は点数だけで決まらない

医師国家試験を受ける際に注意したいのは、「禁忌肢」です。これが、医師国家試験がほかの試験と異なる一番の特徴と言えるでしょう。医師国家試験は点数だけでは決まりません。

禁忌肢というのは、「医師として絶対に間違ってはいけない選択肢」の意です。患者の死・不可逆的な臓器の機能廃絶を招く選択肢や、医師として順守すべき法律に触れる選択肢が、それにあたります。医師として絶対に守らねばならない技術と倫理が備わっているかが、厳しく問われるわけです。

禁忌肢はどこに潜んでいるのかわからない

禁忌肢を規定数以上選んでしまうと、どれだけ点数が良かったとしても、試験に不合格になってしまいます。400問ある医師国家試験の試験問題の選択肢のどこかに、これら禁忌肢が混じっています。

医師国家試験の臨床・一般・必修の3つの形式のうち、禁忌肢は必修に含まれていると言われてきましたが、必ずしもそうでもないことが成績表により判明しています。そもそも、出題基準に、禁忌肢が含まれるのは必修のみであると明記されているわけではありません。どこにあるのかわからないので、気は抜けないのです。

ステップ3 臨床研修医

医師国家試験に合格したら、そこから2年間の臨床研修医生活が始まります。医学部では6年間、医学を勉強します。医師国家試験にパスして医師免許を持っていても臨床経験はゼロのままです。そこで、実際の経験を積む段階が臨床研修医の期間なのです。

臨床研修医は「半分だけお医者さん」と言えるでしょう。臨床医として患者を診察しますが、一人前の医者というわけではなく、心情的には見習いのようなものです。しかし、患者のほうから見ると、一人前の医者も、臨床研修医も同じに見えるので、同じ水準を求めてきます。そこが臨床研修医の悩ましいところと言えるかもしれません。

臨床研修医として行うこと、臨床研修医の生活状況について、見てみましょう。

臨床研修医でやること

臨床研修医となったら、研修先で臨床の経験を積みます。内科、救急、地域医療、外科、小児科、産婦人科、精神科の7科目が必修となります。また、将来専門としたい診療科についても自分で選んで研修を受けられます。

研修医が研修できる施設は、医学部に付属する大学病院または厚生労働大臣指定の臨床研修施設です。臨床研修医というと、過酷な生活を想像されるかもしれません。マンガやドラマでは悲惨で苦しい研修医の生活がありありと描かれていたりしますが、かつてに比べ、環境はかなり改善されています。

その契機となったのが、2004年4月1日に開始されたスーパーローテートという新しい臨床研修制度で、マッチング制度と、研修医の給与上昇が制度の大きな柱となっています。

マッチング制度と給与上昇

新しい臨床研修制度の1つ目の大きな特徴は、マッチング制度です。これは、臨床研修医が自分で研修先を選べるというものです。かつては大学の医局が研修先を決めていたので、意に染まないところに派遣される臨床研修医も少なくありませんでした。マッチング制度により、自分の働きたい医療機関で研鑽を積むことができます。

もう1つは、研修医の給与上昇です。かつては研修医と言えば、生活が苦しく、夜勤のアルバイトをしないことには生活できないというパターンが多かったのですが、このアルバイトを禁止し、代わりに適正な給与が支払われるようになりました。したがって、研修医の生活環境はかつてに比べ格段に改善されています。

ステップ4 医師

研修を終えれば、いよいよ一人前の医師として働けるようになります。長く苦しいこれまでの道のりを振り返ると、感無量と言うしかありません。よくぞここまでがんばりました。

さて、とはいえ、これで終わりではありません。あなたはただ医師になりたいのではないでしょう。医師を目指そうと決めたとき、医学生時代、そして臨床研修医時代を経て、あなたの中に、「こういう医師として、こういう風に働きたい」というイメージができているはずです。それを実現するのが、いよいよここからのステージです。

どの科目の医師になるのか?

基本的に、医師国家試験に合格すれば、どの科目の医師にもなることができます。医師国家試験はあらゆる科目の知識を総合的に問う試験ですので、パスすれば、あらゆる科目のお墨付きが得られるというわけです。

臨床研修医の時代に、いくつかの科目を研修していきますが、その中から専門診療科を決めていくことになります。自分の性格との相性や、これまでの経験で選んだり、親も医師であるのならその科目を専門にするのもいいでしょう。将来、開業を考えているのなら、開業しやすい科目を選ぶことも重要です。

メジャー科とマイナー科

診療科目には、メジャー科とマイナー科という区分があります。

メジャー科

内科、外科、産婦人科、小児科

マイナー科

眼科、耳鼻科、皮膚科、形成外科、整形外科、泌尿器科、麻酔科、精神科、放射線科、臨床検査科など

まとめ

医学部を目指してから、医者になるまでには長い道のりがあります。また、医者になって以降も、シビアなことにも出くわす機会は多いでしょうし、一筋縄ではいかない世界ではあります。しかし、医者というのは、人の役に立つ素晴らしい職業ですし、その苦労を乗り越えるだけの意味はあります。

医者を目指す方には、ぜひがんばっていただきたいです!